筋肉少女帯ライブ・過去日記アーカイブ(1989〜)

筋肉少女帯の活動履歴、ライブ感想などを記録したアーカイブです。(非公式)

*【筋少ファン日記のあゆみ】

*【2003年発行「筋肉少女帯の活動記録1979〜2003」無料DL】

(113ページ PDF書籍 ディスコグラフィー・ライブレポート)

はてなダイアリーが選ぶ名盤百選(63)

  • 筋肉少女帯「サーカス団パノラマ島へ帰る」1990年作品

id:chepookaさんから、リレーを回して下さって光栄です。この日記では最近すっかりお笑いの話ばかりになってますが、実は筋肉少女帯のファンサイトを1996年からやっているものです。
私がはてなダイアリーで「筋肉少女帯」「大槻ケンヂ」をキーワード登録しました。そこでリンクを辿って多くの日記を拝見しましたが、筋肉少女帯が活動停止をして4年経つ今でもなお、若い世代に聴かれているのだなという事を知ることができて、とても嬉しく思いました。
今回紹介するのは、メジャー4枚目の「サーカス団パノラマ島へ帰る」です。筋少で1枚挙げろと言われれば93年の「UFOと恋人」を出したい所なのですが、名盤というテーマなので、こちらを選びました。私は現在30歳で、このアルバムを初めて聴いたのは16歳の時です。それまで、歌謡曲やポップスに親しんでいた私は、筋少を聴いて初めてHR/HMプログレを知り、大槻ケンヂの詩にただならぬ才能を感じて、深くはまった作品です。「これは後々ずっと聴き継がれる名作になるだろう」と思いました。

発売された当時はバンドブームの最中で、コミカルな面だけがクローズアップされていましたが、本当は70年代からの良質なハードロック・プログレを受け継ぎ、詩は江戸川乱歩・海外のSF小説などに影響された高い文学性を持った、稀有な存在のバンドであったと思います。これを当時メンバー平均年齢25歳が作っていたと思うと、改めてその才能に驚かされます。
当時はちょっと変わったロック兄ちゃんという認識しかなかった大槻ケンヂは、今や作家として特にサブカル・SF界で名を上げていますが、筋肉少女帯もまたロック史に残るバンドとして再評価されてもいいのではないかと思います。
10代の方にはロックバンドの1つとして出会って欲しいですし、また大槻ケンヂの歌に当時敬遠していたHR/HMプログレ好きの方にも、この曲の濃さと演奏技術には唸るはずだと思います。

それから詩に注目すると、内気で自意識過剰な性格であった少女時代に、心の底に深く入り込む作品でした。当時の大槻氏のインタビューによると、このアルバムは「自殺できなかった自分への遺書のつもりで書いた」とのことで、「自分の住むほんとうの世界『パノラマ島』へいつか帰るのだ」というメッセージを訴えていました。また作品には「この憎むべき世界にいつか復讐してやろう」と思う人物が多く登場します。
当時16歳の私は、18歳で死んでしまおうと考えていました。男性と話すことが苦手で、容姿が可愛くなければ辛い思いしかしないと思い込んでいました。このアルバムを聴いて、これ以上いい作品はできずに翌年には解散するだろうと思い、それで人生をおしまいにしようと思っていました。しかしその予想は外れて、さらにいい作品を次々と出していきました。私はライブに行き続けることを生きがいにして、ファンを続けていきました。
そして6年の月日が経ち、大槻氏はアルバム「キラキラと輝くもの」に収録されている「小さな恋のメロディ」にて、メタルの激しい曲に乗せて「この世界を憎しむ想いは忘れたよ」と言いました。早く死にたいと思う17歳の少女に向けて。私もそのまま歳を取り、不思議なことに結婚もしたのですが、今でも心の隅っこには微かに世界を憎んでいる想いが残っています。
それでは、最後に私がこのアルバムを聞いた16歳の時に書いた感想文をそのまま載せた、自分のサイトのページをリンクします。
http://members.jcom.home.ne.jp/king-show/90txt.html#2gatu5

残念なことに、メジャーデビューアルバムからこのアルバムまで廃盤になっていて、現在は入手が困難になっています。いつかアルバムが再発してくれることを願っています。

「サーカス団パノラマ島へ帰る」1990年2月5日(TOY'S FACTORY)
1 サーカスの来た日
曲・橘高文彦/編曲・筋肉少女帯是永巧一
2 ビッキー・ホリディの唄
詞・大槻ケンヂ/曲・大槻ケンヂ/編曲・筋肉少女帯是永巧一
3 詩人オウムの世界
詞・大槻ケンヂ/曲・橘高文彦/編曲・筋肉少女帯是永巧一
4 労働者M
詞・大槻ケンヂ内田雄一郎、前島あきひろ/曲・内田雄一郎、前島あきひろ/編曲・筋肉少女帯是永巧一
5 アメリカン・ショートヘアーの少年
詞・大槻ケンヂ/曲・内田雄一郎橘高文彦/編曲・筋肉少女帯是永巧一
6 23の瞳
詞・大槻ケンヂ/曲・大槻ケンヂ/編曲・筋肉少女帯是永巧一
7 電波Boogie
詞・大槻ケンヂ/曲・筋肉少女帯/編曲・筋肉少女帯是永巧一
8 パノラマ島へ帰る
詞・大槻ケンヂ/曲・大槻ケンヂ/編曲・ホッピー神山是永巧一
9 航海の日
曲・橘高文彦/編曲・筋肉少女帯是永巧一
10 また会えたらいいね
詞・大槻ケンヂ/曲・大槻ケンヂ内田雄一郎/編曲・筋肉少女帯是永巧一
11 お別れの日
曲・太田明/編曲・筋肉少女帯是永巧一
12 元祖 高木ブー伝説
詞・大槻ケンヂ/曲・大槻ケンヂ/編曲・筋肉少女帯
[サウンドプロデュース]筋肉少女帯是永巧一
[ゲスト]坂田明(Saxophone)、安紀(Cho)、ホッピー神山(Hammod Organ,Synthesizer) 他

筋肉少女帯に対しての思い入れは、ファンによってかなり違いがあると思うので、私が書いたキーワードの解説文も納得がいかない方もいらっしゃるのではないかもしれませんが、ご容赦下さい。